【鶏卵アレルギー】アレルギー検査のオボムコイドってなに?
前回お話ししたView39でも卵アレルゲンとして、卵白、オボムコイドの両方が測定されます。
では、「卵白」、「オボムコイド」というのはどう違うのでしょうか?
卵を摂取して2時間以内にじんましんなどの症状を起こす原因は卵白がほとんどです。オボムコイドとはその卵白の中にある主要なタンパク質となります。オボムコイドの特徴は熱や消化酵素に対して安定であるということです。すなわち、どんなに加熱してもアレルギーを起こす可能性はほとんど変わらないということです。もう一つの主要なタンパク質である「オボアルブミン」は加熱により凝固しやすく、しっかりと加熱することによりアレルギーを起こす可能性は低くなります。
この特徴が「卵白」、「オボムコイド」の両方を測定する理由です。
具体的には「卵白」が陽性となった場合、「オボムコイド」の値を見て、
- 「オボムコイド」の値が高い。⇨しっかり加熱しても卵白でアレルギー症状が出現する可能性が高い。
- 「オボムコイド」の値が低い。⇨しっかり加熱すれば卵白でアレルギー症状が出現する可能性は低い。
と言えます。
ここでいうアレルギー症状が出現する可能性というのは前回の「39項目のアレルギー検査は慎重にすべき4つの理由」でお話ししたように「プロバビリティカーブ」という図に数値を当てはめながら考えます。
前回もお話ししましたが、View39の数値はこの「プロバビリティカーブ」に当てはめることはできません。今回出てきた「オボムコイド」の「プロバビリティカーブ」もイムノキャップやアラスタットという1項目ずつ採血項目を選ぶタイプのアレルギー検査では報告されていますので、診療の参考にしています。
最新版である食物アレルギー診療ガイドライン2021には卵アレルギーの診断はこれまでのアレルギー症状の聞き取りを行い、オボムコイドや卵白特異的IgE抗体価を参考にして「食物経口負荷試験」の判断を行うこととされています。
血液検査だけでは卵アレルギーの診断にはなりません。その辺りを「食物経口負荷試験」の話を含めて次回お話ししたいと思います。
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