小児科ブログ

【食物アレルギー検査】食物経口負荷試験ってなに?

「食物経口負荷試験(以後、負荷試験)」とは、食物アレルギーが疑われている食品を病院やクリニックで摂取してみる検査です。アレルギー症状が出現してもすぐに対応できるように薬などを準備して、医療者の前で摂取します。

「負荷試験は食物アレルギーの最も確実な診断法である。」と食物アレルギー診療ガイドライン2021に書かれています。ここには血液検査だけでは食物アレルギーの確実な診断はできないので、負荷試験をしましょうという意味が内包されています。

実際に、食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017にも「血液検査のみでは食物アレルギーの診断はできない。」と書かれています。

では、「血液検査」と「負荷試験」の関係は?どのように診療に使用しているのでしょうか。ここでも何回か登場している「プロバビリティカーブ」が使用されます。

食物アレルギー診療の手引き2017

これまで出てきた「プロバビリティカーブ」との違いはわかりますか?それぞれの曲線が「年齢毎」だったのが、「卵料理名と量」になっています。この「プロバビリティカーブ」は負荷試験でその「卵料理名と量」を摂取したときにアレルギー症状が出現する可能性を描いています。ここでいう「卵の料理名と量」のことを「総負荷量」と呼んでいます。

この「プロバビリティカーブ」に出てくるIgE抗体価もイムノキャップで測定されたもので、View39の値は使用できません。(リンク)

例えば、IgE抗体価が100kUA/Lの場合、「全卵1個炒り卵」では90%以上の患者さんでアレルギー症状が出現し、「加熱全卵1/4つなぎ」では80%程度、「加熱卵黄つなぎ」では半分以下の患者さんでアレルギー症状が出現するということが示されています。

今回、出てきた3種類の「総負荷量」ですが、これは、下記の量に当てはめると、「加熱卵黄つなぎ」が「少量」、「加熱全卵1/4つなぎ」が「中等量」、「全卵1個炒り卵」が「日常摂取量」となっています。

食物経口負荷試験の手引き2020

これまでのアレルギー症状出現経過の聞き取りや血液検査の値を参考にどの段階の負荷試験を行うか決定します。

負荷試験で実際に決めた量を摂取して、アレルギー症状が出なければ「陰性」、アレルギー症状が出た場合には「陽性」と判断します。「陽性」であれば負荷試験を実施する前の食生活を継続、「陰性」であれば「総負荷量」を超えない範囲で自宅でも摂取を行えるように栄養指導を行います。

食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017

繰り返し負荷試験を行いながら日常摂取量が摂取できるかを確認していきます。ここで注意すべきことは、摂取量を増やすタイミングは負荷試験であって、自宅で増やすことは避けるべきであるということです。

 

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