診療科

血管内治療グループ

はじめに

平成20年9月に発足した当グループは診療科横断的な診療グループとして、脳神経外科領域を除く全診療科の疾患を対象に、当該科の専門医と協議しながら患者様に最適な治療を提案することを掲げて活動しております。おかげさまで、今秋で11年目を迎えます。これもひとえに関係者の皆さまのご理解とご協力の賜物と心より感謝申し上げます。

診療の状況

診療体制に大きな変更はなく、ハイブリッドカテ室を含めた3台の血管造影装置で対応しております。時にERに搬送された多発外傷患者と院内急変患者への同時対応など、切羽詰まった状況になることもありますが、各スタッフの働きで、あらゆる状況や手技に対応できており、施設としてのレベルが向上しているのを実感しています。

症例数の推移は別表の通りですが、この1年間に当グループが関わる治療について、いくつかご紹介したいと思います。

透析シャントへの治療は前年度に比べて、大幅に症例数が増加しました。通常のシャントPTAだけでなく、中心静脈の狭窄や閉塞に対するカテーテル治療や長期留置カテーテル(テシオカテーテル)の症例が多いことが当院の大きな特徴ですが、昨年度も県外を含めた他施設から非常に多くの紹介をいただきました。担当する腎臓内科の郡司医師は新規のシャント造設からシャントPTAや中心静脈病変までこなすシャントに関するエキスパートですが、昨年度は米国に短期留学し、さらにレベルアップして帰国してくれました。これからも最適な治療を迅速に対応することで患者さんの不安を解消すべく取り組んでおります。

末梢動脈疾患(PAD)については疾患に対する理解も深まり、透析施設を中心に非常に多くの先生方からご紹介いただいております。昨年度はPADに対するカテーテル治療(EVT)が初めて150件を超え、そのうち下肢切断のリスクが高い重症下肢虚血(CLI)症例が約7割を占めております。これも当グループだけでなく、心臓血管外科や形成外科を中心とした関連診療科との連携があってこそ対応できるものです。さらに、この領域では、毎年のように新しい治療デバイスが登場しますが、これらを県内で最初に導入するなど実績を重ねております。県内でPADに対して最も多くの治療選択肢を提示することができる施設として、これからも積極的に取り組んでまいります。

ドクターカーおよびドクターヘリを有する当院には、外傷患者も多く搬送されてきます。特に多発外傷では出血のコントロールは重要で、カテーテル動脈塞栓術(TAE)はこのような状況で威力を発揮します。症例数が豊富なことから、院内でTEAを行える術者も徐々に増えてきております。今後も救急科と協力しながら、重症患者であっても、より迅速に対応できるように体制の強化を図っていきます。

腎動脈瘤や脾動脈瘤などの内臓動脈瘤や動静脈奇形(AVM)等に対するコイル塞栓術も徐々に増加しています。2017年秋から、この分野では国内の第一人者である慶応大学放射線科専任講師の井上政則先生に定期的にお越しいただいており、国内トップレベルのコイル塞栓を行っております。

以上、当グループの活動についてご報告いたしました。これからも病診連携、病病連携を推進し、地域医療に少しでも貢献できるよう微力ながら努力する所存です。今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

令和元年8月吉日

水戸済生会総合病院 血管内治療グループ グループ長 千葉 義郎

ご紹介に際してのお願い

  • 診療科がはっきりしている場合は、該当する科の外来へご紹介ください。
  • それ以外は血管内治療外来での予約診療となります。
    地域医療連携室にご連絡ください。
  • 画像検査等のデータはご持参いただくか、出来るだけ事前に地域医療連携室宛に郵送をお願いします。
  • 透析シャントトラブルについては腎臓内科医師に直接ご連絡ください。
  • 緊急症例については可能な限り対応いたします。病院に直接ご連絡ください。

医師紹介

グループ長

千葉 義郎(ちば よしろう)

所属学会・認定資格 日本内科学会 認定総合内科専門医・指導医
日本循環器学会 専門医
日本心血管インターベンション治療学会 専門医
日本インターベンションラジオロジー学会 専門医
ステントグラフト指導医(胸部・腹部)
日本脈管学会 脈管専門医
日本不整脈学会
ICD認定医
CRT認定医
死体解剖資格
担当領域

虚血性心臓病、閉塞性動脈硬化症、腎動脈狭窄症、肺血栓塞栓症、動脈瘤に対する塞栓術などの循環器領域の他、消化器領域(特に肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術、中心静脈ポート増設)や呼吸器領域(上大静脈症候群に対するステント留置、気管支動脈塞栓術)など幅広く担当しています。

グループ長代行

海老原 至(えびはら いたる)

所属学会・認定資格 日本内科学会 指導医
日本腎臓学会 専門医
日本透析医学会 指導医
担当領域

透析患者のシャントトラブル

  • 東 和明 (あずま かずあき) 外科
  • 菊地 斉 (きくち ひとし)救急科
  • 福井 大治郎 (ふくい だいじろう) 救急科
  • 黒澤 洋(くろさわ ひろみ) 腎臓内科
  • 樋口 基明(ひぐち もとあき)循環器内科
  • 郡司 真誠(ぐんじ まさのぶ) 腎臓内科
  • 椎名 映里(しいな えり) 腎臓内科
  • 金野 直言(こんの なおあき) 消化器内科
  • 川原 有貴(かわはら ゆき) 循環器内科

非常勤顧問

井上 政則(いのうえ まさのり)

所属学会・認定資格 慶応義塾大学医学部 放射線診断科 助教
日本医学放射線学会 専門医
日本インターベンショナルラジオロジー学会 専門医
ステントグラフト指導医

遠田 譲(とおだ じょう)

所属学会・認定資格 三井記念病院 放射線科
日本医学放射線学会 専門医
日本インターベンショナルラジオロジー学会 専門医
検診マンモグラフィ読影認定医

サポートスタッフ

消化器内科

仁平 武、柏村 浩、青木 洋平

循環器内科

大平 晃司、山田 典弘

心臓血管外科

倉岡 節夫、篠永 真弓

消化器外科

高久 秀哉

整形外科

生澤 義輔、野村 真船、秋山 義人

救急科

遠藤 浩志、稲葉 健介

形成外科

芳賀 康史

実績表

症例総数

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
症例総数 400件 409件 489件 492件 660件 821件

透析シャント関連

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
シャントのバルーン拡張術 61 73 112 144 286 411
鎖骨下静脈狭窄例 1 8 9 5 12 2
長期留置カテーテル(テシオカテーテル)留置 11 5 5 9 20 20

腫瘍関連の動脈塞栓術

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
肝細胞癌への動脈塞栓術 30 22 43 60 48 25
子宮筋腫に対するUAE(子宮動脈塞栓術) 0 1 9 0 5 6
その他(動注療法を含む) 4 6 3 3 2 0

末梢動脈疾患のカテーテル治療

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
下肢 114 140 126 123 119 153
その他(腎動脈、鎖骨下) 1 3 3 4 5 7

大動脈ステントグラフト内挿術

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
腹部 35 45 51 38 23 40
胸部 6 16 25 29 18 22
エンドリークの塞栓術 10 13 26

末梢動脈瘤塞栓術

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
総数(腸骨動脈瘤含む) 18 8 9 11 22 25

出血に対する動脈塞栓術

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
外傷 11 7 12 11 6 13
消化管出血 9 3 7 6 8 1
周産期関連の出血 4 4 2 1 2 4
その他 3 3 10 11 19 15

VTE(静脈血栓塞栓症)関連

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
下大静脈フィルター
留置
13 8 10 3 6 7
回収
7 3 5 1 4 5
深部静脈血栓症のカテーテル治療 14 4 5 2 14 15
肺血栓塞栓症のカテーテル治療 3 0 0 0 0 0

その他

年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
診断アンギオ 20 15 18 15 17 7
上大静脈ステント 1 5 4 0 0 0
胃静脈瘤へのBRTO 2 3 1 2 0 3
中心静脈ポート造設 15 7 12 2 8 10
内分泌疾患サンプリング 2 6 5 0 2 3
気管ステント 0 2 0 0 0 0
異物回収 1 1 1 0 1 1
バイオプシー(CT下、その他) 4 3 2 2 0 0