診療科

循環器センター

下肢静脈瘤に対する接着剤(グルー)治療について

2019年12月より、下肢静脈瘤の新たな治療法として接着剤治療(グルー治療)が保険適用となりました。

これまでの下肢静脈瘤の治療法としては、血管内焼灼術(レーザー治療)が行われていました。これは、血管の内側から熱で血管を塞ぐカテーテル治療で、低侵襲で体への負担が少なく、多くの方がこの治療を受けております。

近年、より低侵襲性で体への負担が少ない、新たな治療法として、接着剤(グルー)治療が開発されました。
レーザー等と違い、熱で血管を焼くのではなく、生体接着剤を用いて血管を塞ぐ治療法であり、熱による身体へのダメージもなく、痛みもほとんどありません。また、血管周囲の広い範囲への麻酔も必要ありません。

当院は学会からの認定を受け、グルー治療を実施しております。
希望される方は、心臓血管外科までご相談ください。

下肢静脈瘤に対する接着剤(グルー)治療

ハートチームとしての治療

現在の心臓血管疾患に対する治療において、重要なキーワードの一つは<ハートチーム>です。

これは心臓血管疾患の治療方法の決定においては、その決断が循環器科、心臓血管外科のどちらかの視点に偏ることなく最適な治療法を選べるように、そして実際の治療においては循環器内科医と心臓血管外科医がお互いにその長所を生かし、安全に治療が完結できることを目指した概念です。

<ハートチーム>は循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士(CE)、臨床検査技師、放射線技師、理学療法士(リハビリテーション)と共に、チームとして患者さんに最適で安全な治療を提供できることを目指しています。心臓血管疾患の治療方針を決める時、偏りのない最適な治療法を選択し、実際の治療は循環器内科医と心臓血管外科医が互いに手を携えその長所を生かし、かつハートチームが一丸となって患者さんの治療にあたります。

当院循環器センターの合同ハートチームカンファレンスの様子

当院ではこのハートチームという概念を重要視しており、循環器内科、心臓血管外科のそれぞれが良いパートナーとして気さくな関係でいつでも問題を相談し合い、患者さんにベストな治療が提供できるよう心掛けています。

その象徴として、当循環器センターでは循環器内科、心臓血管外科が週に一度合同カンファレンスを行い、直近1週間のカテーテル治療、心臓血管外科手術を全例報告し検討しています。同時に、今後心臓血管の治療が必要となる患者さんにおいては、両科で最適な治療法について話し合い、患者さんにとって少しでも良い治療となるようハートチームとして検討しています。

ハイブリッドカテーテル室におけるカテーテル治療医と心臓血管外科医の協同治療

当院では2016年よりカテーテル治療と心臓血管外科手術を同時に施行できるハイブリッドカテーテル室を稼働させています。ハイブリッドカテーテル室では主に、大動脈瘤の治療である大動脈ステントグラフト内挿術や、閉塞性動脈硬化症に対するバイパス手術、カテーテルによる血管拡張術/ステント留置術/末梢動脈ステントグラフト内挿術など、カテーテル治療と外科手術が同時に必要な疾患を治療しており、その治療数は年々増加しています。ハイブリッドカテーテル室で行われる多くの治療が、心臓外科医と循環器内科医(カテーテル治療医)が同時に術者となり、互いに協力し、その長所を生かし合いながら治療を行っています。

当院のハイブリッドカテーテル室

新規治療の積極的な導入

当センターでは、今までも低侵襲で新しい治療を積極的に導入してきました。以前は開腹・開胸手術で人工血管置換術を行うしか治療法がなかった大動脈瘤に対しての、ステントグラフト内挿術がその一つです。閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療においては、昨今新たなデバイス(医療機器)が本邦で次々と使用可能となっており、これらを積極的に導入し治療にあたっています。

また大動脈弁狭窄症(心臓弁膜症)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVIないしTAVRと呼ばれます)という低侵襲治療も当院で治療を受けることが可能です。

患者さんが早期に日常生活や社会生活に復帰できるように、今後も身体への負担が少ない低侵襲な心臓血管治療を積極的に導入していきたいと考えております。

  • 大動脈瘤の治療に使用されるステントグラフト
    (写真提供:ゴア社)
  • 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)用の人工弁
    (写真提供:エドワーズ社)