部門

総合周産期母子医療センター

総合周産期母子医療センターについて

当センターは、1992年5月に「茨城県周産期センター」として開設されて以来、地域のハイリスク妊産婦様について、妊娠中から分娩まで高度な医療を提供し続けています。2005年6月には茨城県より「総合周産期母子医療センター」としての指定を得て、MFICU(母体胎児集中治療室)6床を整備し、更に充実した診療をご提供しています。
私たちのセンターの大きな特徴は、産科領域は水戸済生会総合病院の産婦人科(MFICU)が、小児科領域は茨城県立こども病院の新生児科(NICU、新生児集中治療室)が担当し、当院とこども病院で協力し合って運営されていることにあります(水戸済生会総合病院と、茨城県立こども病院は同一敷地内にあり、病棟間は通路で連結されています)。
私たちのセンターは、茨城県央・県北地域を担当する「総合周産期母子医療センター」として、地域で発生する重症・ハイリスク妊婦様の紹介(母体搬送)受け入れ、産科救急疾患の診療に、24時間積極的に取り組んでいます。筑波大学附属病院、土浦協同病院と連携し、当院の担当地域である県央・県北地域の患者様を中心に、県南・鹿行地域やつくば・県西地区、福島県いわき市、栃木県東部等、近隣他県からの産科症例の搬送依頼にも可能な限り対応しています。
胎児に異常(低出生体重や胎児の先天的な病気)のある場合、こども病院の新生児科を中心として、こども病院各診療科(小児外科、小児循環器科、小児脳神経外科、小児整形外科、小児血液内科等)と出生前からミーティングを重ね、出生後に速やかに適切な治療が開始できるよう努めています。
妊婦様に疾病のある場合、当院他専門科および地域病院等と連携し、合併症妊娠や高年初産等ハイリスクの妊婦様をトータルにサポートしております。
当院に専門医の常勤していない母体合併症や、当院で対応できない胎児疾患の場合などは、筑波大学附属病院や都内の専門施設等に適切にご紹介し、ご紹介後も紹介先病院と連携し、患者様が必要なときに適切にサポートしております。

産科救急について

もともと合併症をお持ちでない妊婦様でも、5-10%が妊娠中もしくは分娩中・分娩後に、産科的合併症を含むなんらかの疾患を発症してしまいます。2004年の全国調査で、妊産婦様の約250人に1人に死に至るほどの重篤な合併症が妊娠・分娩中に起こる事がわかりました。こうした事態は、予測できる事もありますが、突然起こる事もあります。こうした突発的な事態にも対応できるよう常に産婦人科医が院内に待機しています。また、麻酔科医や救命救急センターと連携を図り、突発的な事態にも常に対応できる体制を整備しています。こうした母体救急については、院内発生例だけでなく、県央・県北地域で発生する妊娠・分娩・産褥の救急についても、可能な限り全てに対応しております。

合併症のある患者様

多くの母体の内科合併症は妊娠前から適切に管理し、妊娠に向けてお薬を調整することで、お母様や赤ちゃんを安全に導き合併症を減らすことができます。また、高血圧・糖尿病・甲状腺疾患など妊娠中に悪化すると赤ちゃんに影響が出るために、より慎重な管理が必要になる疾患もあります。心臓病や脳血管疾患など、分娩でお母様の負担が強くなる疾患もあります。当科では、各専門科と協力しながら適切に妊娠管理を行い、お母様と赤ちゃんにとって最適な分娩時期と方法を決定しています。
循環器疾患(高血圧、不整脈、先天性心疾患やその術後など)、消化器疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、肝炎など)、腎疾患(慢性腎炎、腎不全透析患者など)、脳血管疾患(もやもや病、脳動脈瘤など)、脳神経疾患(てんかんなど)等、さまざまな合併症をお持ちの妊婦様に対し、当院専門科および近隣病院・医院と連携して、できる限りの対応をしています。代謝内分泌疾患(糖尿病や妊娠糖尿病、甲状腺疾患など)や、あるいは膠原病(SLE、リウマチ、抗リン脂質抗体症候群など)、耳鼻科疾患をお持ちで、かかりつけ医のない方については、当院の非常勤医による専門外来で対応します。当院に専門医不在のため対応が難しい疾患、精神疾患(統合失調症、人格障害、神経症、うつ病など)、血液疾患(血小板減少性紫斑病、出血性素因など)、呼吸器疾患などについても、適切な医療機関と連携の上で、可能な限り当院で妊娠管理を行っています。どうしても当院で対応できない合併症の場合には、適切な医療機関をご紹介いたします。
さまざまな疾患で治療中の患者様は、妊娠出産が可能なのか、現在内服しているお薬が赤ちゃんに影響するのではないかと心配されることが多いと思います。多くの場合、お薬による赤ちゃんへの影響よりも、治療の中断によるお母様の病状の悪化の方が赤ちゃんにとって悪影響になります。適切にお薬を選択し治療を続けることで、より安全に妊娠を継続することが可能になります。お一人で悩まず、ご自身の判断でお薬を止めたりせず、必ず主治医にご相談ください。また、当科でもいつでもご相談に応じております。合併症によっては、妊娠前からの慎重な対応が必要になることもあります。大きな病気をお持ちの方は、妊娠する前に担当医と、妊娠可否についてよくご相談されることをお勧めします。
多胎妊娠や前置胎盤などのハイリスク妊婦様、切迫流産・切迫早産・前期破水・妊娠高血圧症候群などの産科特有の合併症に対して、常に最新のエビデンスやコンセンサスに基づき、茨城県立こども病院新生児科と連携しながら、お母様と赤ちゃんにとって最も良い分娩時期・方法を選択し、管理・治療を行っています。

胎児外来について

妊娠中あるいは出生時にすでに存在する赤ちゃんの先天疾患は、全出生の3~4%に発生すると言われています。現在では、様々な出生前検査の普及により、妊娠中に赤ちゃんに病気が見つかる事があります。当院では、妊婦健診では毎回胎児超音波を実施しています。そこでたまたま赤ちゃんに疾患が見つかった場合には、原則的に妊婦様にお伝えしています。しかし患者様によっては赤ちゃんの疾患について妊娠中に知りたくないと思われるかたもいらっしゃると思います。赤ちゃんの疾患について知りたくない場合は、事前にそのようにお伝えください。
妊娠中に赤ちゃんに疾患が見つかったときの、お母様の心理的負担は大変なものです。当科では、胎児疾患の専門外来「胎児外来」をもうけ、複数の医師による濃密な診療を行い、時間をかけてその時点で可能な限り正確な診断を行うとともに、丁寧にカウンセリングを行います。また、出生後に赤ちゃんの治療を担当する県立こども病院の新生児科・循環器科・小児外科・脳神経外科といっしょに赤ちゃんを診させて頂き、その時点で考えられる診断・治療に関してカウンセリングをさせて頂きます。その上で、患者様の決定権を尊重しながら、お母様と赤ちゃんにとって最適な分娩時期と方法を決定しています。重症の疾患であっても、出生直後からの集学的な管理・治療で赤ちゃんの予後が改善する事が期待されるものもあります。また、妊娠中から赤ちゃんの病気を知り、備えることで、より赤ちゃんを迎える準備をできるメリットがあります。

遺伝・NIPT外来について

当科では、遺伝カウンセリング外来(自費診療5,000円/30分)をもうけ、クアトロテスト・羊水染色体検査、新型出生前検査である母体血を用いた胎児染色体検査等の出生前検査のカウンセリングと実施をおこなっております。こうした出生前検査について、現時点(令和元年)では対象を「当院で分娩をご計画の妊産婦様のみ」に限らせて頂いておりますのでご了解下さい。
上のお子様がご病気で次のお子様が同じ病気になるかどうか心配、ご自身の血縁者やご主人の血縁者に遺伝性疾患の方がいて、自分やお子様が同じ病気になるかどうか心配、というかたなど、遺伝や遺伝性疾患に関する不安やお悩みあるかたもこちらの外来でご相談ください。

母体血胎児染色体検査(NIPT)についての詳細はこちら

総合周産期母子医療センターのスタッフ

常勤医師は、藤木 豊(センター長)、山田 直樹、中村 佳子、人見 義郎、加藤 敬、佐々木 怜子、東 福祥、島 みなみの8名です。他に、初期研修医(当院だけでなく、県立中央病院や水戸協同病院、水戸医療センター、筑波大学、新潟大学などの研修医を受け入れています)2名程が常時勤務しています。非常勤医として、筑波大学より夜間当直医が数名勤務しています。
看護スタッフは、浅野 さとみ(看護課長)をはじめ26名の助産師、看護師7名、看護助手1名、クラーク1名がチームで医療にあたります。
分娩後に児がNICUに収容されることが予測される場合など、出生前カウンセリングが必要と考えられる場合は、県立こども病院NICU専門医師・看護師による出生前訪問(ペリネイタル・ビジット)が行われています。

各種データ

当センターでの分娩数および出生児数の年次推移(2018年)

分娩件数 598件 出産児数 669児(単胎528件、双胎69件、品胎1件)

分娩数 出生児数

分娩週数(2018年、22週以降)
  • 28週未満の早産件数 14件
  • 37週未満の早産件数 181件(28週未満含む)

件 週数

母体搬送受け入れ件数

総母体搬送数509件(緊急転院搬送142件、救急隊要請10件、ハイリスク外来紹介357件)

母体搬送の年次推移

緊急 ハイリスク 件数