診療科

腎臓内科

特色

腎臓内科概要

水戸地区・県央地域の総合病院の1科として検尿異常から各種腎炎、腎不全に対する透析療法の導入・維持透析とその合併症、及び各種血液浄化療法を担当しています。また、水戸市や水戸市医師会と連携した慢性腎臓病早期発見のための、健診受診率向上を目的の一つとした研修会や市民啓発活動にも力を入れています。常勤医は6名(うち腎臓専門医4名)で、日本腎臓学会認定施設、日本透析医学会認定施設、日本アフェレシス学会認定施設に指定されております。
 入院患者さんは20~40名で心臓血管外科・循環器内科・消化器内科・脳神経外科・整形外科を中心とする併診を合わせると、常時50名前後の入院患者さんを担当しています。各種の急性血液浄化療法にも積極的に取り組んでおります。併設の健診センターからは腎・膠原病関連の早期発見患者さんが、隣接する県立こども病院からは15歳以上になった腎臓機能障害の患者さんが、周産期センターからは腎炎合併妊娠・妊娠高血圧腎症の患者さんをご紹介頂いています。周辺の各施設からは慢性腎炎や腎不全を始め、各種の腎臓関連疾患をご紹介頂いております。新型コロナウイルス感染症の影響がありましたが、腎臓内科への2021年度の新入院患者数は609名で入院理由は下記に示します。腎臓内科の平均在院日数は16.9日です。

臨床指標・統計
新入院患者数と原疾患(のべ数ではない)

平均在院日数 16.9日(2020年度は13.3日)

入院患者原疾患 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
急性腎不全 35 41 30 41 28 40
慢性腎不全 236 218 251 253 215 205
透析合併症 232 314 645 616 521 356
急性・慢性腎炎・ネフローゼ 93 88 138 107 145 140
その他 13 8 20 17 16 16
609名 669名 1084名 1034名 925名 757名

CKD(慢性腎臓病)について専門外の先生にもご理解頂くため、全国規模の学会発表や論文の作成以外にも、積極的に茨城県や水戸市周辺で開催される学会・研究会・勉強会に参加し、発表を行っております。病棟や血液浄化センターのスタッフにも学会や研究会での発表を勧めております。地域住民の皆様への積極的な腎臓病の啓発活動のみならず、より高度な、そして充実した患者さん本位の医療を提供できるように邁進するつもりでおります。腎臓内科も内科の1科として、済生会病院の基本理念に基づき医療活動を継続しております。

  • 健診
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診療内容

1.急性腎炎及び慢性腎炎

当院では出血傾向や片腎などの禁忌が無い限り腎生検を行い腎炎の診断をします。腎生検を施行することで、腎炎の種類の特定・病期・必要な薬剤の有無・使用量・使用期間を判断し患者さんの年齢・社会的背景にあわせたより的確な治療を行うことが可能となります。当院の年間腎生検件数は60件前後(2021年度は76件)で、診断は筑波大学腎臓内科教室及び東京医科大学茨城医療センター腎臓内科教室と協力して行っています。

腎生検件数と組織像

組織診断 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
IgA腎症 41 26 28 13 40 31
膜性腎症 8 9 8 7 6 3
微小変化群 10 8 7 7 13 11
巣状糸球体硬化症 1 1 0 2 4 5
ANCA関連腎炎 2 2 2 2 2 3
ループス腎炎 1 2 5 3 0 3
その他 13 10 6 5 4 3
76件 58件 56件 39件 69件 59件

2.急性腎不全および慢性腎不全

急性腎不全の場合は可能な限り治癒の可能性を期待して腎生検を含めた精査を行います。治癒・軽快の可能性があれば治療を行い経過観察します。慢性腎不全の場合は心血管系を含め合併症の検索を行い、必要な時期に透析の準備のための内シャント造設術を行い(血清クレアチニン5mg/dl以上)、維持透析を開始します(血清クレアチニン8mg/dl以上)。腎臓移植を含め説明を行い、透析療法については可能な限り事前に面談を行い腹膜透析か血液透析のいずれを施行するかを含め相談します(緊急で透析を導入した場合は導入後に維持透析を腹膜透析にするか血液透析にするかの相談をします)。維持透析を開始した場合は、自宅の近い透析施設へ紹介致します。腎炎・腎不全ともに食事療法は重要です。当院では専門の栄養士による食事指導を行っています。

3.維持透析

現在血液浄化センターでは約80名の維持透析患者さんの透析を行っています。15名が腹膜透析患者さんです。2021年の当院での新規透析導入患者さんは127名です。新規導入患者さんのうち原疾患を腎硬化症や糖尿病とする患者さんは91名(72%)と高い割合を占めています。

新規透析導入患者の原疾患

導入原疾患 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
糖尿病性腎症 54 53 58 61 54 39
慢性腎炎・血管炎 19 18 23 28 17 20
腎硬化症 37 37 44 38 37 43
多嚢胞腎 4 2 3 2 5 3
その他 13 3 5 4 6 3
127名 113名 133名 133名 119名 108名
うち腹膜透析導入患者数 6名 1名 3名 6名 2名 5名

透析室のスタッフは看護師16名、臨床工学技士16名、医療秘書2名です。当院は透析合併症を持つ近隣の関連施設からの入院を可能な限り受け入れる体制をしいております。35床の透析ベッドのうち11床を入院患者さん用にして、必要な緊急入院に備えております。新型コロナウイルス感染症の影響もありましたが、2021年度には563名の紹介入院患者さんの入院透析を施行しております。

月別紹介透析合併症新入院患者数(他科入院を含む)

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
2015年度 43 36 41 41 39 47 35 47 48 43 37 30 487名
2016年度 36 48 51 56 42 34 44 56 33 49 43 62 554名
2017年度 59 58 53 58 59 67 67 83 66 68 73 72 783名
2018年度 75 77 86 90 75 58 89 87 72 82 76 75 942名
2019年度 98 93 87 89 79 88 92 77 83 71 78 90 1025名
2020年度 64 52 103 67 33 37 45 49 53 50 36 50 639名
2021年度 57 51 41 43 44 55 48 47 39 42 41 55 563名

県央地域でも糖尿病を原疾患とする維持透析患者さんや高齢の維持透析患者さんが増加しています。それに伴い、合併症で紹介して頂く患者さんは重症化しています。個々の患者さんの状態を把握し、より安全な透析が行えるように注意を続けています。

4.各種血液浄化療法

当院では各種血液浄化療法が施行可能です。重症肝不全や膠原病に対する血漿交換療法、重症感染症に対するエンドトキシン吸着療法、潰瘍性大腸炎やリウマチに対する顆粒球吸着療法、循環器系をはじめとする重症の合併症を伴う腎不全患者さんへの持続濾過透析、その他各種吸着療法が随時可能な状態で対応しています。
施行した血液浄化療法は以下の通りです。

その他の血液浄化療法のべ件数

2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
血液浄化療法 のべ件数 のべ件数 のべ件数 のべ件数 のべ件数 のべ件数
顆粒球除去療法 10 20 0 8 4 0
白血球除去療法 0 0 0 0 7 0
血漿交換療法 2 2 12 0 0 7
二重膜濾過法 0 4 5 0 0 0
ビリルビン吸着療法 0 0 0 0 0 4
LDL吸着療法

0

8 11 4 11 0
エンドトキシン吸着 10 9 13 3 7 3
直接血液灌流法 0 1 5 0 1 0
持続濾過透析法 206 296 361 265 254 265
228 340 407 280 284 279

充分な安全確認のもと、各種モニターを装着し血液浄化療法をより安全に行えるように努力しています。

5.血管治療

当院では狭窄・閉塞性血管病変に対する治療を積極的に行っております。腎臓内科は透析用シャント血管を主に担当しています。腎臓内科が施行した処置は以下の通りです。

手術・血管内治療


2021年度

(件)

2020年度

(件)

2019年度

(件)

2018年度

(件)

2017年度

(件)

シャント作製術 203 237 284 300 212
人工血管移植術 41 26 41 31 44
PTA 536 452 366 390 305
シャント血管造影 27 22 42 50 78
その他(瘤切除・血栓除去など) 15 25 63 33 32
腹膜透析カテーテル挿入及び抜去 6 8 9 9 17
長期留置カテーテル挿入 24 28 17 18 12

終わりに

診療科からのメッセージ

当科は、筑波大学・東京医科大学茨城医療センターと協力し、患者さんが満足できるようより高度な、より安全な医療を提供できるように努力しています。
高い技術や知識を持つことを基本とし、患者さんおひとりおひとりの考え方や、社会的背景をふまえた満足度の高い医療をできるだけ提供できるように考えています。

腎臓病や透析療法を含めた血液浄化療法についてのご相談がありましたら是非受診して下さい。

担当医師紹介

  • 副院長/血液浄化センター長/医療技術部長/主任部長
    海老原 至
    出身大学(卒業年)
    • 北海道立札幌医科大学(平成6年)
    専門領域
    • 腎臓
    認定資格等
    • 日本内科学会 総合内科専門医・認定医・指導医
    • 日本腎臓学会 腎臓専門医・指導医
    • 日本透析学会 透析専門医・指導医
    • 日本アフェレシス学会 専門医
    • 医学博士
  • 部長
    佐藤 ちひろ
    出身大学(卒業年)
    • 筑波大学(平成18年)
    専門領域
    • 腎臓
    認定資格等
    • 日本内科学会 総合内科専門医・認定医
    • 日本腎臓学会 腎臓専門医・指導医
    • 日本透析医学会 透析専門医・指導医
  • 部長
    黒澤 洋
    出身大学(卒業年)
    • 岩手医科大学(平成19年)
    専門領域
    • 腎臓
    認定資格等
    • 日本内科学会 総合内科専門医・認定医
    • 日本腎臓学会 腎臓専門医・指導医
    • 日本透析医学会 透析専門医・指導医
    • VA血管内治療認定医
  • 部長
    椎名 映里
    出身大学(卒業年)
    • 山形大学(平成25年)
    専門領域
    • 腎臓
    認定資格等
    • 日本内科学会 認定医
    • 日本腎臓学会 腎臓専門医
    • 日本透析医学会 透析専門医
  • 医員
    武原 瑠那
    出身大学(卒業年)
    • 筑波大学(平成30年)
    専門領域
    • 腎臓
  • 医員
    奥田 紗帆
    出身大学(卒業年)
    • 埼玉医科大学(平成31年)
    専門領域