小児科ブログ

【気管支喘息】乳幼児喘息ってなに?

「気管支喘息」とは空気の通り道(気道)に炎症(ボヤ)が続き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなる(大火事)ことを繰り返す病気です。(日本呼吸器学会)

 症状としては咳や痰が出て、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴って息苦しくなります(喘息発作と呼びます)。夜間や早朝に出やすいのが特徴です。

 

日本呼吸器学会

 

また、「乳幼児喘息」は5歳以下の反復性喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューのエピソードを繰り返す)のうち、明らかな24時間以上続くエピソードが3回以上あり、気管支拡張薬の吸入後に症状の改善が認められる場合のことを言います。(小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020)

気管支拡張薬の効果が乏しい場合には「診断的治療」を行います。「診断的治療」とは診断をするために治療を行なってみることを言います。1ヶ月間、ステロイド吸入薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の内服などの治療を行い、経過観察することで効果があれば(喘息発作が起きなければ)「乳幼児喘息」と診断します。

 「乳幼児喘息」と診断した後は「IgE関連喘息」「非IgE関連喘息」とに分類します。乳幼児IgE関連喘息の診断に有用な初見として以下の6つが小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020には挙げられています。

 

  1. 両親の少なくともどちらかに医師に診断された喘息がある。(過去にかかっていたものも含む)
  2. 本人に医師に診断されたアトピー性皮膚炎がある。(過去にかかっていたものも含む)
  3. 本人が吸入アレルゲン(ダニやハウスダストなど)に対する特異的IgE抗体陽性である。
  4. 家族や本人のIgEの値が高い。
  5. 痰の中に好酸球などが存在すると言われたことがある。
  6. 気道感染がないと思われるときに喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を起こしたことがある。

 

なぜ「IgE関連喘息」と「非IgE関連喘息」を分類することが大事なのかは「喘息が学童期以降も継続するかどうかを判断する材料となるから」です。約8割の乳幼児期の喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)は一過性に改善しますが、約2割程度は学童期まで持続します。「IgE関連喘息」の多くは学童期まで継続するため、ステロイド吸入薬やロイコトリエン受容体拮抗薬の内服などによるより慎重なコントロールが必要となります。

 

 乳幼児喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を3エピソード以上認めている場合には気管支拡張薬などの治療を行い、「乳幼児喘息」と正しく診断し、アレルギー疾患の家族がいるかどうか、採血を実施してダニなどの吸入薬アレルゲン特異的IgE抗体の値を確認し、「IgE関連喘息」なのかどうかを確認し、適切なコントロールをしていくことがポイントとなります。

 

 自分の子どもが喘息なのかな?と思ったら是非参考にしてみてください。

 

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