循環器センター開設のご案内

2016.07.01

平成28年7月1日から組織改編によって循環器センターを設立することとしました。これまでも循環器内科、心臓血管外科が互いに協力し合い診療してきましたが、今後この2診療科を一体的に運営し患者さんから見て分かりやすい形で最適な医療を提供したいと考えております。
この組織改編の背景には医療技術の急速な進歩と高齢化社会の深化があります。かつては内科治療といえば薬を用いた治療(薬物治療)だけを、また、外科的治療といえば大掛かりな手術を意味し、循環器内科医と心臓血管外科医が互いに患者さんを紹介することはあっても同時に協力し合って診療するということは殆どありませんでした。しかし、細い管(カテーテル)を血管内に入れてカテーテルを通して治療する技術が目覚ましい進歩をとげ、種々の循環器疾患に適応が拡大されて循環器内科医と心臓血管外科医が協力して診療に当たる場面が多くなりました。このようなカテ―テル治療は体に負担の小さい治療で高齢者に適した治療と言え高齢化社会の深まりの中にあって益々発展するものと予想されます。
この血管内治療はレントゲン透視下に行われ、従来心臓カテーテル検査室で行われてきましたが、近年新たに高度な血管内治療が次々に登場し、より難治性の心血管疾患に対して手術と組み合わせて(手術単独よりも負担が小さく)できるようになり、そのための治療室(レントゲンで血管を写しながら手術ができるのでハイブリッド手術室と呼びます)を平成28年4月1日に新設しました。
多様な循環器疾患をもつ高齢者に対し体への負担の小さい治療を効率よく提供できる時代となり、また、当院の循環器内科、心臓血管外科の人員も充実し、更に診療機器も整備されたのを機に新たに循環器センターを設立し循環器疾患を一体的に診療できる体制としました。循環器領域において地域に貢献できることを願っております。

用語の解説

循環器疾患とは?

心臓から大動脈に拍出された血液は枝分かれした動脈を経由して全身のいろいろな臓器(組織)や手足に流れて行き、血液中に含まれる酸素をはじめとした生命維持に必要な栄養などが各臓器(組織)に供給されます。同時に不要となった物質が血液中に回収され静脈を経由して心臓に戻されます。このような血液を全身に循環させるシステムが循環器といわれ、心臓と血管(動脈と静脈)からなります。約5リットル/分の血液が循環しますが、けがで出血するとか胃潰瘍から出血して血を吐くとかがなければ血液はどこへも失われることなく(閉鎖回路の中を流れ)循環し続けます。このポンプ(心臓)やホース(血管)が傷んでくる(病気になる)と水圧の低下(心臓の働きの低下)や目詰まり(動脈硬化)をおこし円滑な循環が妨げられ、その結果いろいろな臓器障害を起こします。
この血液循環システムの異常を循環器疾患と呼びます。
循環器疾患には心臓の病気が全て含まれます。また、動脈の病気としては大動脈の瘤(大動脈瘤)、脳動脈や下肢動脈の目詰まりなど動脈硬化性疾患が代表的です。また、静脈領域では最近注目されてきた血液の塊のできる病気(深部静脈血栓症)があります。